犬のための「さつまいも」の究極ガイド

sweet potatoes

主なポイント

  • さつまいもは、適度な量を与えていれば、一般的に犬が食べても安全です。
  • 最近のFDA(アメリカ食品医薬品局)の警告によると、犬がさつまいもを大量に食べた場合、犬の拡張型心筋症を発症するリスクを高める可能性があるそうです。また、芋には糖質の多いでんぷんが多く含まれているため、ペットの健康リスクにつながります。
  • 一方で、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、食物繊維が多く含まれているため、ペットの健康的なおやつやフードサプリメントとして利用することができます。
  • 犬にさつまいもを与える場合は、必ず茹でたり、つぶしたり、焼いたりして、火を通してから与えるようにしましょう。生の芋、市販の加工品、揚げた芋は絶対に犬に与えないようにしましょう。

多くの犬の飼い主は、よく自分の食事をペットに分け与えています。犬も飼い主に食事を分けてもらって食べることが好きです。しかし、チョコレート、タマネギ、ニンニクなど、犬にとって非常に危険な製品があることは、ドッグオーナーであれば既に知っている方も多いでしょう。その他の人間の食べ物については、どうでしょう。この記事では、犬にさつまいもを与えることのメリットとデメリットについて、知っておくべきことをすべて説明します。 

犬にとって「さつまいも」はあまりよくない可能性がある

拡張型心筋症(DCM)

長い間、獣医師や犬の栄養学の専門家は、さつまいもは犬の食事に問題ない食材であり、適度な量を定期的に摂取することで様々な健康上のメリットが得られると語ってきました。しかし、最近、 米国食品医薬品局(FDA)が犬の拡張型心筋症(DCM)に関する警告を発表したことで、この見解が覆されました。同局によると、DCMとジャガイモ、豆類、レンズ豆、エンドウ豆を多く含むペットフードとの関連性を示す研究結果が発表されています。これらの食品を多く含む食事をしている犬は、心臓が肥大し、血液を送り出す能力が低下するDCMを発症する可能性が高いとされています。DCMは、心臓が肥大して血液のポンプ機能が低下し、最終的にはうっ血性心不全などを引き起こし、死に至ることもあります。幸いなことに、このようなケースは稀で、さつまいもには犬にとって多くの健康上のメリットがあります。ただし、さつまいもなど芋類や豆類などはあくまでも犬の食事にとって「おかずの一種」という位置付けで、食事のごく一部のみを占めるよう配慮する必要があります。  

person holding pink and green watermelon

炭水化物の含有量が多い

DCMの発症リスクを高めるだけでなく、さつまいもは白イモやヤムイモと同様に炭水化物を豊富に含んでいます。その炭水化物がペットの体内で消化されると、糖分に変わります。さらに悪いことに、さつまいもはペットの血糖値を急激に上昇させます。その結果、ペットの体内でインスリンが急激に分泌されることになります。このようなインスリンの急激な上昇が定期的に起こると、最終的には甲状腺疾患、インスリン抵抗性、糖尿病、さらには癌を発症する恐れがあります。

免疫システムの問題

炭水化物は、ペットの免疫系にも悪影響を及ぼします。腸内に生息する酵母や善玉菌が、健康な免疫系の維持に大きな役割を果たしていることは広く知られています。残念ながら、糖質の多いでんぷんは有害な細菌や酵母の増殖を促進し、その結果、腸内の善玉微生物が減少してしまいます。これにより、ペットが以下のような様々な健康状態に陥る可能性があります。

  • 皮膚のかゆみ
  • 慢性的な腸の不調
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 心臓、肝臓、腎臓の病気

もし、ペットがかゆみを感じるようになったり、以前は問題なかったのに慢性的な外耳炎になったりした場合は、さつまいもを食べないようにして、これらの症状が改善されるかどうかを確認するとよいでしょう。また、獣医さんに診てもらう必要があるかもしれません。

犬にとってのさつまいものメリット

brown and red oval stone犬にさつまいもを大量に与えることの危険性についてはすでに説明しましたが、さつまいもを少量与えることで、ペットはさつまいもの持つ多くの健康上のメリットの恩恵を受けることができます。ここでは、さつまいもを摂取することで得られるメリットをいくつかご紹介します。

栄養成分が豊富

さつまいもには、鉄分、カルシウム、カリウム、そしてビタミンC、A、B6が非常に多く含まれています。これらの栄養素は、ペットの体に不可欠な機能を持っています。例えば、ビタミンCは健康な免疫システムを促進し、ビタミンAは目、皮膚、神経の健康に重要です。 

食物繊維が豊富

さつまいもは、野菜の中でも食物繊維の含有量が多いのが特徴です。食物繊維は、ペットの規則正しい排便を助け、便秘や下痢を予防します。さらに、食物繊維を多く含む製品は、犬がすぐに満腹感を得られるため、ダイエットが必要な犬にも効果的です。また、食物繊維を定期的に摂取することで、愛犬の心臓病や一部のがんのリスクを下げることができます。

高ベータカロチン

sliced carrots on white paper

βカロチンは、さつまいもの独特のオレンジ色を生み出す強力な抗酸化物質です。犬がベータカロチンを摂取すると、体内でこの化合物を使って2分子のビタミンAが作られます。このビタミンは、ペットの生殖器系、視力、皮膚の維持に不可欠です。また、この抗酸化物質は、ペットがある種の癌や心臓病にかかるリスクを減少させます。 

犬は生のさつまいもを食べられますか?

white and black long coated puppy人間であっても、生のままのさつまいもを好んで食べる人はほとんどいないでしょう。生のさつまいもは、犬にとっても、決して良いものではありません。さらに、犬の胃を荒らしたり、腸閉塞を引き起こしたりする可能性もあります。そのため、犬に与えるさつまいもは調理し、皮もきちんと剥いてから与えてください。犬に与えるは、茹でる、焼く、マッシュするなどの方法があります。今までさつまいもを食べたことがない犬の場合は、マッシュしたさつまいもを少量、犬の食事に混ぜて、野菜が好きかどうか、副作用がないかどうかを確認することから始めましょう。揚げたさつまいもや加工したさつまいもは絶対に与えないようにしましょう。

犬に与えるさつまいもの量は?

さつまいもの健康効果を愛犬に受けさせたい場合は、適度な量を与えるようにしましょう。さつまいもを犬の主食にすることはできません。時々、おやつや補助食品として与えるようにしましょう。また、犬にさつまいもを与える前に、獣医師に相談することをお勧めします。獣医師は、犬種、体格、体重、健康状態に応じて、どのくらいの量が適切かアドバイスしてくれます。

よくある質問

犬に与えてもいいさつまいもの量はどれくらいですか?

これは、犬のサイズと年齢によって異なります。小型犬を飼っている場合、さつまいもの適量はティースプーン2~3杯です。いずれにしても、一度に30〜60g以上のさつまいもを犬に与えるべきではありません。 

かぼちゃとさつまいも、どちらが犬にとっていいでしょう?

最近のFDA(アメリカ食品医薬品局)の警告によると、さつまいもを多く含む食事は、犬の拡張型心筋症の発症リスクを高める可能性があるそうです。さつまいもはかぼちゃよりも食物繊維とタンパク質が豊富ですが、炭水化物の含有量が少ないかぼちゃをペットに与える方がよいでしょう。

さつまいもで犬が死ぬことはありますか?

いいえ、さつまいもは犬が食べても安全ですので、死ぬことはありません。しかし、さつまいぼに限らず、犬には野菜を大量に食べさせないようにしてください。

さつまいもで犬が便秘解消!?

そう、さつまいもには食物繊維が豊富に含まれているので、ペットの消化能力を高め、規則的な排便を促すことができるのです。

犬用のさつまいも料理を作るにはどうすればいいの?

犬にあげるさつまいもの調理法としては、煮る、焼く、つぶすなどがあります。生のさつまいも、揚げたさつまいも、市販のさつまいも、玉ねぎやニンニクを含む調味料で調理した野菜はペットに与えないでください。