犬の去勢手術の費用 – ガイド

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主なポイント

  • 去勢手術の費用は、犬の年齢、犬種、体重、健康状態、選択した動物病院によって異なります。
  • イギリスでの犬の去勢手術の平均費用は、ペットの大きさにもよりますが、110ポンドから230ポンドです。
  • アメリカでは、犬の去勢手術にかかる費用は、住んでいる場所にもよりますが、50ドルから600ドル程度です。都市部に住んでいる場合は、犬の去勢・避妊手術の費用が高くなります。
  • 日本の場合も動物病院や犬のサイズなどによって異なりますが、平均3〜8万円程度とみておいてください。
  • 犬の去勢手術は、前立腺がんや乳がんのリスクを減らし、腫瘍を予防し、不機嫌な行動を改善し、望まない妊娠の数を減らすなど、多くのメリットがあります。

犬の去勢・避妊手術の説明

去勢手術とは、雄犬の両睾丸を取り除く手術です。避妊手術として、また行動上の問題を解消するための方法として行われます。

メスの避妊手術は英語で「スペイリング:spaying」と言います。避妊手術では、従来の卵巣摘出手術で卵巣と子宮を摘出します。より高度な方法である卵巣摘出術では、卵巣のみを摘出します。ほとんどの場合、これは腹腔鏡下の避妊手術として行われます。メス犬の不妊手術のもう一つの選択肢は、鍵穴式手術です。これは比較的新しい方法で、獣医はこの手術を行う際に小さなカメラを使用し、いくつかの小さな切開(キーホール=鍵穴サイズのように小さい穴というのが手術名の由来)をした上で卵巣を取り除きます。鍵穴式手術は、犬にとっては負担が少ないため、回復が通常の避妊手術より早いです。

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犬の去勢・避妊手術には数時間しかかかりません。麻酔をかけているので術中のペットは痛みを感じませんが、回復には数日かかります。

 

去勢手術の費用について

イギリスにおける犬の去勢手術の費用

平均して、オス犬の去勢手術には110ポンドから230ポンド、メス犬の避妊手術には154ポンドから397ポンドかかります。通常、メス犬の方が手術が複雑なため、より高額になります。

スウォンジーでは、体重10kg未満のオス犬の去勢手術は約130ポンドからです。価格は犬の体重によって異なり、例えば体重が40kgを超える犬の場合は、約195ポンドを支払うことになります。メス犬の去勢手術の料金は、10kg未満の犬の場合、155ポンドから始まり、約280ポンドまで上がります。

ブリストルでは、体重10kg未満のオス犬の去勢手術の料金は、約140ポンドから始まります。処置の費用は、犬の体重とともに増加します。例えば、体重が50kgを超えるオス犬の場合、200ポンド近く支払うことになります。また、体重10kg未満のメス犬の避妊手術には210ポンドほどかかります。体重には5つのカテゴリーがあり、体重50kg以上の犬の場合、最高で300ポンドになります。

スコットランドでは、メス犬の去勢手術に180~220ポンド、避妊手術に210~285ポンドを支払う必要があります。当然のことながら、正確な価格は犬の体重によって異なります。料金には、去勢・避妊手術前のチェック、手術自体、術後のチェック2回が含まれています。

PDSAのクリニックで去勢手術を受けた場合、約86ポンドを支払うことになりますが、犬の精巣が体内にあり、獣医がより複雑な手術を行う必要がある場合は、113ポンドまで値上がりすることがあります。PDSAのクリニックでの去勢手術の料金は、体重に関係なくすべての犬で同じです。避妊手術の場合は、体重10kg以上の犬で113ポンド、40kg以上の犬で129ポンドです。イギリスのどこに住んでいるかや、犬の体重に関係なく、費用はかかります。PDSAの基準を満たしていればよいのです。

アメリカにおける犬の去勢手術の費用

去勢・避妊手術の料金には、お住まいの地域、選んだ動物病院、犬の体重、年齢、健康状態、血液検査や鎮痛剤などのオプショナルサービスを追加するかどうかなどによって支払う料金は変動します。これらの要素を考慮すると、犬の避妊手術の価格は50ドルから600ドル程度が平均になります。シカゴやニューヨークなどの都市部では、小さな町に比べてはるかに高額になります。そうは言っても、犬の去勢手術の平均価格は、シカゴでは325ドル〜、ニューヨークでは390ドル〜となっています。レーザーを使った去勢手術の平均価格は150ドルから500ドルです。ペットシェルターでは最も安い価格で手術が受けられ、インターンの獣医学部の学生が行う場合は無料で手術を受けられることもあります。

日本における犬の去勢手術の費用

上記のイギリスやアメリカ同様、犬種や犬の体重、健康状態によって手術費用は変動します。雌犬の避妊手術同様、日本では検査〜手術〜術後検診までがセットになったパッケージを用意している動物病院が多いです。

一例を紹介すると、東京都台東区にある入谷動物病院では、去勢手術のパッケージを用意しており、全身麻酔、手術代、注射代、術後内服代、術後抜糸処置代込みで小型犬(〜10kg)20,000円、大型犬(30kg〜)35,000円〜となっています。

地域によっては犬猫の去勢・避妊手術にかかる費用を助成してくれる自治体もありますので、事前に調べてみてください。例えば京都市の場合、市から2,500円、京都市獣医師会から2,500円、合計5,000円の補助金が出ます。

犬の去勢手術はどのように行われるのですか?

犬の去勢手術では、獣医が陰嚢の近くを切開し、両方の睾丸を取り除きます。そして、手術後に専門医が切開部位を縫合して閉じます。通常、この手術には全身麻酔が必要ですが、ペットが特定の基礎疾患持ちである場合は例外となる場合があります。

犬の去勢手術をすべき理由

去勢手術は、犬の健康状態や犬種、年齢によっては合併症を引き起こす可能性があるため、何らかの処置を検討する前に、獣医に相談する必要があります。しかし、それ以外では、犬の去勢手術には数多くの利点があります。

  • 前立腺がんなどのがん種、闘犬の怪我、前立腺の感染症、肛門腫瘍など、多くの健康状態のリスクを軽減します。
  • 去勢手術は、望まない妊娠を最小限に抑え、野良犬の数を減らすのに役立つ避妊法です。
  • この処置により、犬の本能による攻撃的な行動が減少します。また、去勢手術後はテストステロンのレベルが下がるため、英語では卑俗で「ハンピング:Humping」と呼ばれる性行為、性欲を最小限に抑えることができます。
  • また、去勢手術を受けた犬は、自分の縄張りを尿でマーキングすることも少なくなります。 

 

メス犬の避妊手術のメリット

  • 子宮蓄膿症と呼ばれる子宮の感染症のリスクを排除する処置です。
  • 望まない妊娠、幻の妊娠を防ぎます。
  • 乳がんのリスクを減らし、卵巣腫瘍を予防します。
  • 季節によるホルモンへの影響が少なくなるため、愛犬の機嫌が悪くなります。

犬の去勢手術はいつ行うべきか?

オスは生後6ヶ月から7ヶ月の間に去勢するのが良いとされていますが、犬種によって異なる場合があります。メスは通常生後6ヶ月前後での避妊手術が推奨されますが、これも犬の大きさによって異なり、18ヶ月で避妊手術の適齢期に達する犬もいます。去勢手術の時期については、かかりつけの獣医さんに相談するのが一番です。

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小さな子犬に麻酔をかけるのは、少し年を取った犬よりも危険なので、あまりにも若い年齢での去勢手術はお勧めできないことを覚えておいてください。また、一般的には、犬が思春期を迎えてから避妊手術をすることが推奨されています。

去勢手術の費用に影響を与えるもの

犬の去勢手術にかかる費用は、さまざまな要因によって異なる場合がありますが、価格設定はランダムではなく、実際には手術がどれだけ複雑かによって異なります。例えば、大型犬、高齢犬、体重の重い犬の場合は、より多くの麻酔が必要となり、手術時間も長くなるため、手術費用が高くなります。また、ペットが他の病気にかかっていないかチェックしたり、追加の血液検査をしたりする必要がある場合も料金に影響します。また、獣医さんによっても値段が異なります。さらに、麻酔時の安全性を高めるために、追加料金でIVカテーテルを使用するかどうかを尋ねる獣医もいれば、すでに通常のパッケージ料金内に含まれており、手術のたびにIVカテーテルを使用する獣医もいます。

停留睾丸、つまり片方または両方の睾丸が陰嚢の中に正常に降りてきていない犬の場合は、手術がより複雑になるため、より高額になります。また、太っている犬の場合、去勢手術の費用も高くなります。

安い動物病院と通常の動物病院の違いについて

欧米における通常の動物病院は獣医師が個人で経営しており、安い動物病院(公立動物病院)は政府機関や非営利団体が出資しています。どちらも良い選択肢ですが、あなたの愛犬が患者として受けられるサービスについて知っておく必要があります。

公立動物病院では、飼い主の負担が少ない代わりに、通常、検査前の血液検査、サポートのための輸液、体温、血圧の測定などは行われません。さらに、手術後のケアや宿泊も行われず、獣医の1日の手術数も多い傾向にあります。ですから、公立病院では去勢手術の費用は安くても、サービスの質には妥協しないといけないかもしれません。

 

手術前、手術後の注意点

手術前後のケアについては、獣医師から指示がありますので、それに従うことが非常に重要です。通常、去勢手術の前日の夜12時以降に犬に食事を与えることはお勧めできません。手術後、獣医はあなたのペットが必要とするすべての薬のリストと、術後のケア方法を教えてくれます。中には去勢手術後に激しい痛みを感じる犬もいますので、それを最小限に抑えるためにできる限りのことをすることが大切です。

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ここでは、去勢手術を受けた犬が快適に過ごせる方法をご紹介します。 

  • 犬が休める静かで快適な場所を用意してあげてください。
  • 手術後2週間までは、犬の運動量を最小限に抑えるようにしてください。
  • エリザベスカラー(円錐台形状の保護具、必要と判断されたら病院でつけてもらえます)を使用して、ペットが切開部位を舐めないようにする。
  • 10日以上は犬を入浴させないようにしてください。
  • 縫合部を定期的にチェックし、切開部が適切に治癒していることを確認する。
  • 切開部に赤みや腫れ、分泌物が見られたり、犬が無気力であったり、嘔吐したり、食欲が低下したりした場合は、獣医に連絡してください。

 

去勢手術に関する噂話

去勢手術で犬が太ることはない

犬を固定することで肥満になることを確認した研究がないにもかかわらず、多くの人が「去勢したら犬が太る」と思っています。しかし、肥満は食べ過ぎや運動量の少なさが原因であり、避妊や去勢が原因ではありません。

去勢手術は攻撃的な性格の解決にはならない

去勢手術をしたからといって、犬の気質が確実に変わるわけではなく、単に望まない行動を最小限に抑えるだけです。手術によって犬の体内のテストステロン分泌を減らしますが、完全になくすことはできません。もしあなたの犬に定期的に攻撃性が見られ、それが習慣化している場合は、去勢手術で問題を解決できる可能性は低いでしょう。

よくある質問

オス犬の去勢手術はいつ頃するのがいいですか?

オス犬の去勢手術は、生後6ヶ月から9ヶ月の間に行うのがベストです。

去勢手術をすると、犬の行動パターンは変わりますか?

避妊・去勢手術を行うことで、望ましくない行動が雄犬で74%、雌犬で59%減少します。

去勢手術を受けた犬の回復にはどのくらいの期間がかかりますか? 

通常、去勢手術から完全に回復するには10~14日かかります

去勢手術は痛いですか?

麻酔の効果が消えた手術後に多少の痛みを感じることがありますので、去勢手術後に犬が痛そうにする可能性はあります。

獣医は去勢手術を勧めますか?

はい、犬の去勢・避妊手術は若いうちに行うことが推奨されています。