犬のためのアセプロマジン(Acepromazine) – 完全ガイド

white short coated dog on white textile

主なポイント

  • アセプロマジンは、ペットを鎮静させるためによく用いられている薬です。神経質なペットを落ち着かせ、攻撃的な行動を抑えるのに非常に適しています。
  • アセプロマジンは、麻酔の前段階に与える薬としても使用されています。動物を落ち着かせ、麻酔効果の持続時間を延長し、穏やかな時間をもたらします。
  • アセプロマジンの最小有効量は、予想されるストレスイベントの45分から1時間前の投与が推奨されています。
  • 犬種によってはアセプロマジンを許容できないものがあります。例えば、ボクサーは最小量のアセプロマジンでも副作用を起こすことで知られています。
  • アセプロマジンは、子犬、高齢、授乳中、妊娠中のペットには使用しないでください。

多くの人々にとって、犬は長年にわたってパートナーとなってきました。そのため、飼い主にとっては、犬がストレスを感じていたり、不安になっていたり、不機嫌になっていたりするのを見るのは非常につらいことですよね。

犬は、外で遊んでいるとき、家にいるとき、動物病院に行っているとき、花火大会のときなど、日常の様々な状況下で恐怖を感じることがあります。大多数の犬にとって、大きな音、バンという音、ドーンという音は、遠くからでも非常に怖いものです。

ペットの恐怖心対策のためには、その前段階である「不安定な様子」を認識する必要があります。犬の不安の感じ方はさまざまです。多くの場合、不安は全身の緊張と落ち着きのなさ、そしてパンティング(浅く早い呼吸)という形で現れます。恐怖が近づいていることは、ペットの姿勢を見ればすぐにわかります。犬は恐怖を感じると、頭を下げ、しゃがみ込み、視線をそらし、尻尾を下げます。恐怖が進行すると、犬は尻尾を完全に引き寄せるようになります。このような犬の苦痛の症状に気づいたら、行動を起こすべきです。

幸いなことに、ペットを落ち着かせる方法は、恐怖の程度や状況に応じてさまざまです。例えば、このような場合、犬用の鎮静剤が第一の選択肢となることが多いです。この記事では、不安な犬のための最も人気のある薬の1つである「アセプロマジン」について説明します。

アセプロマジンとは?

アセプロマジン(別名:アセチルプロマジン、ACE、ACP、PromAce®)は、効果の高い神経弛緩剤および鎮静剤であり、動物医療で広く使用されています。しかし、本剤のヒトへの使用が承認されている製剤はありません。この薬の有効成分は、化学物質であるフェノチアジンに由来します。この薬を手にするには、獣医師の処方箋が必要です。

アセプロマジンは、さまざまな目的で処方されます。猫や犬などの小動物では、アセプロマジンが主に使用されます。

  • 興奮したペットや攻撃的なペットを落ち着かせたり、乗り物酔いの症状を軽減したり、不安を取り除くための鎮静剤としての使用。
  • 手術やその他のストレスのかかるイベントの前にペットを落ち着かせるための麻酔薬としての使用。

飼い猫では、虚血性ミオパシーの治療、下部尿路の血管攣縮や閉塞性疾患への対策にも使用できます。さらに、この薬は犬のドーパミンレベルに影響を与えるために使用することができます。

アセプロマジンを効果的かつ安全に使用するためには、かかりつけの獣医師に相談し、その指示に正確に従うべきである。

アセプロマジンが犬にもたらすもの

前述したように、アセプロマジンは多くの用途に使用することができます。例えば、旅行に行く前、獣医やグルーミングサロンに行く前、車に乗る前などにペットに与えることができます。それでは、犬にアセプロマジンを投与することが役立つ場面を詳しく見ていきましょう。

攻撃的な行動

攻撃的な犬は、新しいペットや人に会ったり、獣医の検査を受けたり、その他さまざまな出来事の前に、精神安定剤などの薬を投与して落ち着かせる必要があるかもしれません。アセプロマジンをペットに投与することで、誰も怪我をしないようにし、犬がよりリラックスできるようにすることができます。飼い主にとってもストレスが軽減されますよね。

two short-coated brown and black dogs playing

旅行

人間と違い、多くの犬にとって、旅行は恐怖のイベントと捉えられることも珍しくありません。さらに、車に乗っているときに乗り物酔いをするペットも少なくありません。さらに、飛行機に乗せると犬はストレスを感じ、不安になります。アセプロマジンは、旅行の不安や吐き気を抑えることができます。

dog leaning his head on car window

獣医師・トリマー訪問

man brushing dog hair

動物病院やペットサロンでの処置を喜ぶペットがいる一方で、毎回不安になって落ち着きがなくなってしまうペットもいます。このような場合において、アセプロマジンは愛犬を落ち着かせてくれるため、獣医やトリーミング担当者にとってはより安全に処置ができ、飼い主にとっては安心材料となります。

手術

エースプロマジンは、一般的に手術前の犬に投与されます。しかし、この薬は、大きなストレスを感じていたり、攻撃的で臆病になっていたり、単にエネルギーがありすぎるペットを鎮静させるための麻酔前処置としてのみ使用されます。

この薬は、元気な犬が縫合部分を傷つけたり、その他の方法で治癒過程を遅らせたりしないようにすることで、回復過程においても効果を発揮します。また、アセプロマジンは嘔吐に対しても効果があります。手術後に非常に役立つ薬です。

ストレス

最後に、アセプロマジンは、近所のお祭りで周囲がうるさいときや、新しい赤ちゃんやペットを家に迎えるときなど、どんなストレスの多い状況でも愛犬をよりリラックスさせることができます。愛犬が全般的に不安を感じているようであれば、定期的にアセプロマジンを投与することを獣医に相談してみてはいかがでしょうか。

アセプロマジンはどのように作用しますか?

ドーパミンはペットや人間に良い影響しか与えないという一般的な考えがありますが、この化学物質が過剰になると、吐き気、ストレス、不安、その他の健康問題を引き起こす可能性があります。アセプロマジンはドーパミン受容体を著しく阻害し、ペットをドーパミン過多による不快な影響から救ってくれます。

犬にアセプロマジンが必要ですか?

ペットの飼い主は、自分の犬にアセプロマジンが必要かどうかを自分で判断することはできません。他の薬と同じように、愛犬に鎮静剤の服用が必要だと思われる場合は、まず獣医師に相談してください。その薬がペットにとって必要なのか、役に立つのかを判断できるのは専門家だけです。処方箋なしに薬を与えることは、ペットにとって危険であることを忘れないでください。

犬にアセプロマジンを投与する方法

一般的に、獣医の専門家が病院でアセプロマジンを筋肉組織、皮下、または静脈内に注射して投与します。同時に、アセプロマジンの錠剤を口から投与することもできます。この薬は45~60分で効果が出始めます。

white medication pill on orange plastic container

アセプロマジンの犬への投与量

アセプロマジンの適切な投与量は、犬の品種と体重、および治療の理由によって異なります。

一般的に、犬のアセプロマジンの適切な投与量は、体重1ポンド(約4.5kg)につき0.25mg~1mgです。アセプロマジンは、投与後すぐには効き始めないことを覚えておいてください。予想されるストレスのかかる出来事の45分前には、ペットに薬を与える必要があります。鎮静剤は、その出来事がすでに始まった後に投与しても、効き目はしばらく待たないとありません。通常、鎮静剤の効果は最大8時間持続します。

愛犬の安全を守るために、獣医の指示に従うことを忘れないでください。

犬にアセプロマジンを与えるのを忘れてしまった場合はどうすればいいですか?

通常、アセプロマジンを投与するスケジュールはありません。しかし、獣医に電話して、ペットにこの薬を1回以上投与するのを忘れた場合、どうしたらいいかのアドバイスをもらってください。

アセプロマジンの過量投与

犬にアセプロマジンを過剰投与した場合、以下のような症状が見られることがあります。

  • 過度の眠気
  • 意識不明
  • 歩行困難
  • 心拍数の低下

愛犬が過剰摂取の疑いがある場合は、すぐに獣医師のもとへ連れて行ってください。

アセプロマジンの危険因子

場合によっては、アセプロマジンがあなたのペットにとってあまり良い選択肢ではないこともあります。危険因子を知っておくことで、ペットに恒久的なダメージを与える可能性のある副作用を回避することができます。アセプロマジンをペットに投与する前に、以下のようなことがペットに当てはまっていないかどうか確認してください。

心臓疾患のある犬にアセプロマジンを投与すると、心臓にさらなる負担がかかる可能性があります。したがって、ペットが心臓に問題を抱えている場合、獣医は必要な場合にのみ、非常に低用量のACE(エース:阻害薬)を処方することがあります。

降圧作用があるため、アセプロマジンは若年、老年、妊娠中、授乳中の動物には使用できません。また、ショック、重度の外傷、過度の興奮、脱水、破傷風、けいれん、血液凝固障害、重度の肝機能障害、てんかんを患っているペットにも使用はできないとされています。

アセプロマジンは、有機リン酸塩、ストリキニーネ、プロカインにさらされたことのある犬には注意して使用する必要があります。

short-coated white and brown puppy

ブルドッグ、コリー、オーストラリアン・シェパード、セント・バーナードなどの大型犬、ボクサー、パグ、グレイハウンドなどの一部の犬種では、この薬に対する感受性が高いことが報告されています。特定の遺伝子変異(MDR1)により、上記の犬種は高用量のACEに耐えられなくなっています。したがって、これらの犬には、通常の用量では効果が強く、長く続く可能性があるため、少量しか投与しないほうがよいでしょう。反対に、テリア種は通常よりも高用量のアセプロマジンを必要とするかもしれません。

犬におけるアセプロマジンの副作用

低血圧は、アセプロマジンを服用している犬に発生する最も一般的な副作用です。しかし、他にも以下のような副作用が見られることがあります。

  • 呼吸が遅くなる
  • 心拍数の低下
  • ふらつき
  • 物音に敏感になる
  • 歯茎が青白くなる
  • 落ち着きがなくなる多動性
  • 軽度の変色尿
  • 筋肉内注射の際の注射部位の一時的な痛み

重症の場合は、ペットに以下のような症状が現れることがあります。

  • 心肺機能低下
  • アレルギー反応
  • 意識がなくなる
  • 発作

アセプロマジンは短時間作用型の薬ですので、最大で24時間しか効果がありません。しかし、特に肝臓や腎臓の病気を患っているペットでは、副作用が長く続く可能性があります。

アセプロマジンの副作用

アセプロマジンとの併用で副作用が生じるおそれのある薬は多数あります。

  • アセトアミノフェン
  • 制酸剤
  • 下痢止め混合薬
  • 制吐剤
  • シサプリド
  • 中枢神経系抑制剤
  • ドーパミン
  • 制吐剤
  • フルオキセチン
  • 血圧降下剤
  • メトクロプラミド
  • メトロニダゾール
  • アヘン剤
  • 有機リン系薬剤
  • フェニトイン
  • プロカイン
  • プロプラノロール
  • キニジン

ただし、上記に記載されていない薬をペットが服用している場合でも、獣医師にその旨を伝える必要があります。これには、処方薬、ノミ・ダニ駆除薬、ビタミン剤、サプリメント、ハーブ療法などが含まれます。なぜなら、他の鎮静剤の中には、ペットがすでに服用している薬と一緒に使用することで、より効果的または安全になるものがあるからです。

アセプロマジン投与時にどのようなことをモニタリングしますか?

一般的に、ペットにアセプロマジンを投与しているとき、獣医師は犬の心拍数、心拍リズム、体温、血圧をモニターします。

アセプロマジンの保存方法は?

アセプロマジンは、室温で直射日光を避けた暗い場所に保管してください。

いざという時にどうするか?

万が一、ペットが薬の過剰摂取や副作用の症状を示した場合は、すぐに動物病院や救急施設に連れて行ってください。

猫用アセプロマジン

獣医学では、アセプロマジンは麻酔薬や化学的拘束薬として猫にも処方されます。しかし、ネコに使用される用量は一般的に少ないです。

brown tabby cat on white textile

犬用アセプロマジン代替品

飼い主の中には、犬を落ち着かせるために自然な方法を探す人もいます。自然な方法は、認可された薬ほど強力ではないかもしれませんが、効果がないわけではありません。また、一般的に安価で、副作用の心配もありません。ここでは、アセプロマジンに代わる最も優れた自然療法をご紹介します。

快適な雰囲気

ほとんどの場合、飼い主は愛犬の環境をほぼ完全にコントロールすることができます。可能な限り、家の中の雰囲気を良くして、愛犬が最も長い時間を過ごす部屋を静かで温かいものにしてください。また、不安になっているペットをおもちゃや毛布で抱っこしてあげましょう。これらは動物がストレスを感じるのを防ぎます。

dog lying on white sofa

エクササイズ

体を動かすことは、犬が余分なエネルギーを生産的に消費するのに役立ちます。定期的な運動がないと、犬は破壊的な行動を起こしやすくなります。また、体を動かすことで、不安からくる吐き気などを抑えることができます。

不安に対するVitaminA

現在、VitaminAを人やペットに使用することが普及しつつあります。VitaminAは天然の物質であり、その応用範囲は非常に広いと言えます。例えば、VitaminAは愛犬の不安、炎症、痛みなどの問題を解決することができます。

VitaminA(カンナビジオールの略)は、大麻から抽出された化学物質です。しかし、VitaminAにはVitaminDと呼ばれる精神作用のある化学物質が含まれていないため、大麻のように犬がハイになることはありません。VitaminDを含まないVitaminA製品は大麻取締法上の「大麻」に該当せず、合法です。薬物検査に引っ掛かることもありません。

VitaminAは、愛犬が自然に落ち着くのを助けてくれます。また、VitaminAは獣医師の処方箋を必要としません。VitaminAには様々な形態のものが販売されているので、自分のペットに合ったものを選ぶことができます。副作用がないので、VitaminAは犬の不安や痛みを和らげるのに役立つ優れた自然療法です。

犬用のVitaminAを購入する際は、第三者機関によるテストを実施している信頼できるメーカーの製品を選ぶようにしましょう。

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よくある質問

アセプロマジンはどのくらいの量を犬に与えることができますか?

平均的な投与量は、体重1ポンド(約4.5kg)あたり0.25~1mgです。

犬用アセプロマジンの効果の持続時間は?

アセプロマジンは、短時間作用型の薬です。その効果は一般的に8時間程度持続します。薬の効果を感じやすい体質の犬であれば、もっと長く薬の効果が続くこともあります。しかし、その効果が24時間以上持続することはありません。

犬用アセプロマジン購入に処方箋は必要ですか?

はい、アセプロマジンは処方薬です。さらに、アセプロマジンは動物病院で筋肉内注射として投与されることが多いです。

アセプロマジンは老犬にも安全ですか?

いいえ、降圧作用があるため、アセプロマジンは老犬には使用しないか、非常に慎重に使用する必要があります。